R指定がない、面取り加工はバレル研磨が一番

1.バレル研磨でR指定がない面取り加工は可能

バレル研磨はワークとメディア(研磨石)、コンパウンド（研磨剤）をバレル槽に投入し、回転や振動、遠心力によって摩擦の力を生み出して加工していきます。このバレル研磨でワークの面取り加工を実施可能となります。

ただ、R指定がある場合はバレル研磨で加工することができません。そのようなワークは複合加工機や研削機械で加工しなければなりません。よってワークの面部全周にわたる面取り加工が必要な場合、R指定がないワークだとバレル研磨でまとめて面取り加工をすることが可能です。

工場で生産するすべてのワークの面取り部にR指定がある場合、バレル研磨は不向きといえます。しかし、生産計画で面取り部のR指定がないワークの注文数が多い場合、大量生産できるバレル研磨を導入するほうがコストダウンにつながります。

また、精密部品のような精度や外観基準の厳しいワークを加工する場合もバレル研磨がおすすめです。メディアやコンパウンドの量で光沢をだし、キズが目立たないように仕上げることができます。

2.研削機械で面取りするよりも工数を大幅削減

一般的に面取り加工が必要な場合、旋削機械で研磨することが多くありますが、外径面や幅面と同時に研削するのが難しく、どうしても工数が増えてしまいます。研削機械によっては砥石の向きを変えて1つの工程で外径面や幅面などと一緒に面取りを行うこともできますが、その分1つのワークに対する加工サイクルが大幅に伸びてしまい、結果的に工数削減とまではいきません。

一方でバレル研磨は一つの工程が増えるものの、大量生産可能なので結果として工数を削減し、コストダウンにも一役買います。バレル研磨の代表的な回転式バレルなどは比較的安価で大ロットも投入可能なことから、業務改善の一環として工場の全体的な工数削減を実現します。

また、バレル研磨では専任の技術担当者というのが必要ありません。メディアやワーク、水やコンパウンドの量、加工時間などの適切な加工時間を設定してあれば、どのような作業者が担当しても同じ品質を保つことができます。

バレル研磨中も作業者が付きっきりにならなくていいのもバレル研磨のメリットといえるでしょう。

3.面取り加工で外径にはキズが付きにくい

バレル研磨はエッジを除去し、面取り加工をしていますが、気になるのが面取り部以外の打ちキズや擦りキズです。バレル研磨は槽を回転・振動・遠心力をかけることで装置全体にうねりをだし、ワークとメディアに摩擦をかけます。このとき、コンパウンドがワークの干渉を和らげますので、ワークに余計なキズが発生するのを抑えます。

4.まとめ

R指定がない面取り加工では、大量生産が可能でコストダウンが実現できるバレル研磨がおすすめです。R指定がある場合はバレル研磨が不向きといえますが、R指定がないワークだと研削機械で加工するよりもはるかに工数削減となります。

また、精密部品のように要求精度が高いワークでも、バレル研磨を使用することで面取り部を仕上げることが可能です。キズも抑えることができますので、これまで研削機械で面取り部を加工していた場合、バレル研磨を導入することで大幅な工数削減を実現できます。